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【レポート】 第4回 悠々読書会 11月4日

ようやく長雨が終わり爽やかな寒気で街が模様替えした日に第4回悠々読書会は三軒茶屋で開催されました。

この記事では、紹介された本と、そのブックトークを紹介します。
ブックトークは主催者の性能の問題ですべてを記録してはおりません。

原因と結果の経済学
中室牧子 津川友介

・文系でもわかりやすい、読みやすい、具体例を見ていると面白い
・経済学者は自分の言いたいことを言う
→だからいつも同じことを言う
→数字の有意性を考察しているのは経済白書くらいなもの
・相関関係を区別して考えるようになった
→それは重要なことですね
→統計分析は難しい
→アウトレットモールはお金を使うつもりで来ているがショッピングモールは時間を過ごす意識で来ている
→飲食店の売上にずいぶん差がある
・市場の詳細を把握できなくなっている
→システムトレードでは瞬間に多数の取引が成立するようになっている
→もう誰も何が起きているかわからなくなっている
→金融庁が調査に乗り出している
→理系の既成の概念を持ってくる人もいる
→ファンドマネージャーは宗教家のようになっている

評論家入門―清貧でもいいから物書きになりたい人に
小谷野 敦

・文学の裏話が多くて面白い
・研究と評論の違いがよくわかって面白い
・評論家は自分の見方を持っていて小説をだしにしてものを言っている
・日本人が夏目をすごいと思っているのは江藤のつくった夏目像の問題だと思っている
→江藤は自分のことを語っている
→小林秀雄はランボオを論じているが、これも小林が勝手に作った像
→日本人が思っているアランは小林の作った像
・研究者は作品の解説だけやってる人
→小谷野さんの本はずっとこんなスタイルで書いてある
・研究者の本は面白くない
→文系の学問は言いたいこと言ってるだけだから本人が面白い人であれば面白い
→作品に従属しているのが研究者
→自分の主張があるというよりも研究している
・論評を読んでいる方が面白いというのは感覚的にわかる
→面白いものは研究したくなる
→面白いと思うときに研究が存在するのである
・文学でも本人(作者)がそこまで言ってないときにそこまで言ったと主張するというのがある
→研究というのであれば越えてはいけないと考える
→深読みしすぎているので本人の言い分と評論家の言い分を分けて言うようにしてほしい
・小林秀雄
→考えることよりも感じること
→運命に従う人である
→知や考えることには、生活実感をこえるものはない

蜜蜂と遠雷
恩田陸

・青春群像劇
→青春のキラキラが表現されている
→作中で二週間くらいの話だが「わたしはここまでしたかったんだ」と気付くまでの登場人物の心情がよく描かれている
→読み終わった後にもう一度読み返したくなる
・ピアノコンクール
→音楽を題材として取り上げた内容
→読んでいくうちに音楽が聞こえてきそうだと言われている
・恩田陸の作品の中でもベスト
→最高傑作だと思っている
→他には綿矢りさを読む
→綿矢リサを読んでいる人、多数
→女流作家の面白みがある
→男性だと文章が明晰すぎてつまらない、明晰な文章を書きたがる傾向がある
→女性は身体の伴う文章なので読んでいて面白い
・恩田陸の文体
→身体性はそれほどでもないので男女ともに楽しめるのではないか

世界中が夕焼け
穂村弘 山田航

手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)
穂村弘

ことばおてだまジャグリング
山田航

・結社に所属して短歌を詠んでいる
→結社?
→短歌ではそういう言い方をする
・短歌では「世界中が夕焼け」のように誰かが読んで他の人がコメントをつける形式は一般的ですか?
→いいえ
・詩というのは味わい方が重要です
→専門家の言葉、解説できる人が必要だとは思う
→自作の短歌を発表できる場は多くなっている
→だが皆ビッグネームばかりを見るようになっている
→評論家の仕事に期待したい
・短歌の解説をしている人、特定の観点から見ている
→既存の見方にあてはまらない文学があったらそれは偉大な文学だという世界
→フレームワークというものがあると思う
→定石というものがある
→本当に上手い人はそれをわかっていて崩している
→自由に詠めるというのは、どうなんだろうと疑問を感じる
・穂村弘さんが清書をやっている
→見ていると面白い
→短歌は生活者の視点
→そういう感性に基づいているところが良いと思った
・本として成立しているのは山田さんが山田さんの見方でつくっているから
→穂村さんは脳の中の「あるある」を表現していくのが大事だと言っている

幕末純情伝
つかこうへい

・幕末を舞台としてつかが自分の語りたいことを語った戯曲
・熱を味わってほしい
・戯曲の面白みはどんな部分にあるか?
→人物がデフォルメされたところ

【レポート】 第3回 悠々読書会 10月7日

小雨の滴る豊島区巣鴨にて第3回悠々読書会は開催されました。

働き方の話題がアイスブレイクで盛り上がりました。
今、切実な問題なんですね。

今回は3つの書籍が紹介されています。

きことわ 朝吹真理子

→もともと好きな作品だった
→著者の講演会に参加して創作の方法を知った
→なおさら良いと思うようになった
→そこで紹介したくなった
→小説を書くつもりで書いていない、現代アート的に表現していること
→イメージを膨らませる方法であること
←それでは作家としての成長はどうなのか?
←テーマ性が深まるのだろうか?
←朝吹さんはどうなっていくのだろうか?
→作家各々の道があるのでは?
←そうかもしれない
←作家論としてそれで良いのか気になる

ラウンダバウト 全3巻 渡辺パコ

→主人公は中2の少女、漫画に影響を受けている
→お小遣いが足りなくなって自分で髪を切った
→姉に修正してもらったらおかっぱにされた、作中通じてその髪型
→仲良しの男の子がいるが真逆の性格
→高校生のお姉さんは進学校に通っている
→ちびまるこのまるちゃんは勉強できないけど屁理屈を言って大人を困らせる
→この子はおせっかいを言って周りを苛立たせてしまったりする
→主人公のそんな部分をお母さんは理解している
→大きな話はない、ハラハラドキドキさせるストーリーテリングで読ませる作品ではない
→忘れてはいけない気持ちが描かれている
→大切な作品、一度手放したがまた集めた
→再読する
→一度読んでダメだともう読まないけど、何度も読んで理解を深める性分だ
←男子中学生を主人公にするとこうはいかない
←女子中学生だから成立した話だと思う
←埋もれてしまいそうな漫画を発掘されている

脱学校の社会 イヴァン・イリッチ

→社会が様々なところで、知らないところで、学校化されている
→学校に行かなくても勉強できる社会を論じている
→教える側と教えられる側とで役割分担が成立している
→学びたいことにクーポンを使用する
→今ならできるだろうと考えられることだが、この時代によくこんなことを考えたものである
→読書会の状況、数が増えている規模が大きくなっている
→読んでほしいと思った
→学校教育で状況を変えようとする考え方はシステムに頼りすぎる考え方だと思っていた
→学校でやらないから勉強しない考えも嫌いだった
→この本を読んで非学校での教育の可能性を素晴らしいと思った
→理想論かもしれないが、最近のテクノロジーの進歩を踏まえて紹介した
→読んでほしい
←小さい頃から絵を描くことを好んでいた
←その体験は非学校の学びだったと今ではそう思える
←社会が学校化しているというのは実感がある
←上司から教えて貰わないとやり方を考えないというのはまずい
←意外とみんなこういう事を考えない
←自分は気になる
→リバタリアンの祖とされる人
→古いのでハテナなところはあると思う
→だが現在でも冷静に評価できる一冊

・まわし読みした感想
脱学校の社会、興味深い、読みたくなる
きことわも読みたくなる
ラウンダバウト、良い話だ!

【レポート】第2回 悠々読書会 8月26日

まだまだ暑い日が続きますが悠々読書会は元気に第二回を終えました。

レポートを作成しましたのでご高覧くださいませ。
なおQAは紹介をうけて行われた会話の一部抜粋です。Aは必ずしも紹介した方からの回答ではありません。

▼反脆弱性(上下)

本書ではリスクに対して脆弱でないあり方をすれば良いのではないかと考えている。
物事がリスクから利益を得るようなあり方を推奨している。
金融商品のオプションを購入するのも選択肢の一つ。万一の事が起こったときに得る利益は莫大ではないか?
社会の存続のためにも考えられるのではないか?
Q:ギャンブルで裏の目に備えて保険をかける事はあります。どう違いますか?
A:本書でのリスクとは予測できないリスクを指している。このため反脆弱性には予測に頼らないというのが含まれている。そこが異なる。
Q:農業でもリスクを考えることは重要。
A:似ている。年功序列が崩れてきた、周期的に金融危機が起こるようになっている、など指摘される現在、仮説をたて、影響をうけるものに対して、脆弱性が露呈したときに備えを施しておくのが大事。
Q:対処としては金融投資?
A:yes、本書では福島が事例としてあげられている。リスクを上回る対処の仕方でないといけないように書かれている。
Q:では予算が増大するのでは?
A:原発ほどであれば相当な予算をつぎ込んで然るべきであろう。

未来を過去の続きとして捉えるのは誤っているのではあるまいか。
フットオプションを日常的に購入しておくのが良い。
中央集権的なものは脆くて分権的なものは反脆弱である
影響をうけるものに対して、脆弱性が露呈したときに備えを施しておくのが肝要なのである。

・まわし読みした感想
著者の言葉遣い、エスプリが効いていて面白い。
社会を冷静に見つめている。

反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

▼殺戮の世界史: 人類が犯した100の大罪

人類史において人がたくさん死んだ事件は何だろう?
しばしば古代の事件の数字の信憑性が疑われるが、古代の人間は数字を読めなかったのか?
過去の数字は信頼できないと言われている。
ところが現代においてもイラク戦争で最小と最大の数字に差があるではないか。
古代と現代でそんなに差があるのか?
現代の数字だから信用できるといったものではあるまい。
当然ながら本書でも著者のスタンスの反映された取り上げ方ではある。

独裁者のいる時代の方が死者数は少ないのではあるまいか?
英領インドの飢饉は酷い。イギリス本国では港で食料が腐るほどあるのにインドでは飢餓で大量死が生じている。
戦争も酷いが飢餓や失政に代表されるような非暴力の問題で多くの人名が失われている。

著者は図書館のデータベースを使って情報収集している。
信頼性あるデータベースにアクセスして導き出したようだ。
著者は統計の好きな人。
統計の視点で評価して面白い一冊ではあるまいか。

・まわし読みした感想
事典のような一冊。よく整理されていて、皮肉もある。
陰惨で直視したくない出来事ばかりだけれども、繰り返したくない出来事を知っておくのは有意義だと感じる。
書棚に一冊置いておきたい。

殺戮の世界史: 人類が犯した100の大罪

▼概説 世界経済史

Ⅰ巻
メソポタミアは湿地帯だったので農耕に労力を要する。このため最初の農耕が行われた土地ではなかった。もっと労力を必要とはしない地形でこそ農耕は始まっていた。
だが労力を集約できるようになることで共同体が発展するようになっている。
本書では人間の認識の変化も発展のためには大事だと指摘されている。

Ⅱ巻
産業革命以降が語られている。
本書では北方ルネサンス的な状況について触れている。
オランダの経済的発展の地の利が指摘されている。
水力で得られたエネルギーは軽視できないが、これは地形の恩恵である。
また北欧諸国では公教育、識字率、大学制度、自然科学と有利な条件が揃っていた。
全般的に学問の水準の高かったのが北欧であり、対象的にイギリスは公教育がもうひとつだったので伸び悩んだのである。

Q:貨幣経済や商品経済はどう語られていますか?
A:必要に応じて触れている。貨幣経済、昔は金属だけではなかった。牛のツノなど使用されていることを知った。意外で面白かった。

オランダの産業の発達は造船業を原動力としていた。
綱や帆の繊維業の発達が見逃せない要素である。
連関効果が大事なのだと教えてくれる。

Q:水野和夫いわく「もうそろそろ資本主義は終わる」どう思いますか?
A:肝心の20世紀パートを未読であるが格差のようなものは古代からあったと考える。難しい問題が含まれている。

ローマ帝国の滅亡だが、経済的な要因として、様々な技術を働かない人たちこそが保持していた。働く人が保持していなかった。
このため中世は貧しくなっている。
人工知能の時代となると技術が一部に集中するリスクが懸念される。

Q:働かない人とは貴族のこと?
A:そうです。

Q:軍事よりも灌漑施設の破壊の方で人がたくさん死んでいる。砂漠化など。
Q:資本主義の先とは?社会主義的になると言われているようだが?
A:水野和夫の指摘によると、利率の向上を見ててある種の行き詰まりが読み取れる。そしてフロンティアが消滅している。だが資本主義はフロンティアを必要とする。
A:技術革新は一種のフロンティアではないかと考える…。
A:イーロンマスクの火星進出がそうかもしれない。
Q:先進国が軒並み高齢化している、それをどうやって支えていくかが問題ではないか?
A:あまり明るい未来を思い浮かべられない。
A:治水が王権を生んだ古代に環境に適応して人間社会が変容した前例がある。宇宙時代になればそれに見合った形に変容するのではないか。想像がつかないが。

人間がうまく利用できた動物は10種類くらいしかない。
そういうことに成功した文明がのちのち発展している。

・まわし読みした感想
本書では生産力の変遷に着眼しているようです。
また関心の対象がヨーロッパであることも前書きで明記されています。
対象を限定しているからこそ思考訓練の素材となりうる書籍なのでしょう。

概説 世界経済史〈1〉旧石器時代から工業化の始動まで

概説 世界経済史〈2〉工業化の展開から現代まで

▼シェフを「つづける」ということ
▼POUR YOUR HEART INTO IT

前者はシェフに着目して取材している。
名の無いシェフを取り上げている。

後者はスターバックスの創業者の伝記。
スターバックスはコーヒーの文化を広める事が事業の出発点だった。
創業者のイタリアでのコーヒー体験に根ざしている。

世界のコーヒーを紹介している店舗が近くにあり、その店舗をお手本にしている。
起業してからは手本のお店を買い取った。

立地を大切にして徐々にチェーンを広げている。
また、エアラインと提携して美味しいコーヒーを提供する事のみならず提供する人を教育するようにしている。

Q:スターバックスといえばシアトルの一企業からグローバルにのし上がって、うまくやった企業のイメージが強かった。理念型の企業だとわかって目から鱗が落ちた。
A:それは何より。

続きがある。アップルのジョブスのように創業者は解雇されて復帰している。
解雇された後の本もある。読むつもり。

シェフを「つづける」ということ

Pour Your Heart Into It: How Starbucks Built a Company One Cup at a Time (English Edition)

・まわし読みした感想
英語の原書が紹介されて場が沸騰しましたが、手にとってみると平明な英語で記述されていて、これならσ(゚∀゚ )でも読めるかも、と思えました。
和訳はされていないようです。
シェフを「つづける」ということ、市井の職人に目を向けていて、人の生きた証が浮かび上がっていると感じます。

▼クレオール・ニッポン──うたの記憶を旅する

名も無き庶民の歌を紹介している。
そのままでは埋もれてしまう歌を掘り起こして紹介している。

クレオールニッポンとは著者の造語で多様化した日本語の歌のことだが、四国の山奥の歌も掘り起こしているのでひろく「日本人の生きた証の歌」といった意味合いで捉えると良い。

福島の大漁の歌、ブラジル日系人の歌、ハワイ日系人の歌、多様性ある。
長崎のキリシタンの歌では埋もれようとしていた歌が著者によって掘り起こされており、その経緯が感動的である。

著者の訪問した大西洋諸島に、そこにも日本人の生きた痕跡があった。
遠洋漁業の乗組員の発していた「サイコー」の音が島民に受け入れられていて「サイコー、サイコー、サイコーサイコーサイコー」と繰り返す歌、人気がある。
著者が歌うと陽気に乗ってくる島民の動画を見てきた。

こうやって日本語も変容して多様化するのであろう。

Q:日本語は簡単になっていくのではないかと言われている。敬語法は既に変容しつつある。会社で実感する。
A:yes、英語のみならず中国語の単語も用いられるようになるのではないか。

クレオール・ニッポン──うたの記憶を旅する

・まわし読みした感想
言語の消滅の問題を想起します。
名も無き庶民に目をむけていて興味深く感じました。